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今回は当店のオーダースーツの主軸である『LINEA PREMIATA』のモデルの1つ、
” Napolitano “について、2回に分けて詳しくお伝えさせていただきます。
ナポリターノという名称から想像がつくかとは思いますが、一言でいうと、ナポリ仕様のディティールを
ふんだんに取り入れた「趣向性・ファッション性の高いモデル」です。
全体的なシルエットとしては曲線的で美しいラインになっております。
それでは、拘りのシルエットとディティールを、それぞれご紹介していきましょう。
●細腹(サイバラ)無しの2枚裁ち仕立て
冒頭で曲線的で美しいラインと書かせていただきましたが、その要因の最たるものとして、細腹無しの2枚裁ちが挙げられます。
現在の主流は前身頃・細腹・後ろ身頃の3枚裁ちとなり、効率的で立体的な縫製に適しているのですが、縫い合わせる箇所が多くなると、それだけ断片的で硬さが出てしまいます。
2枚裁ちは、ボディに沿って余分な生地を前に寄せたダーツとアイロンワークで立体的にしていきます。手間と労力、そして生地が余分にかかるのですが、その分曲線的で美しい仕上がりとなるのです。
●肩線の位置
曲線的で美しいラインの要因のもう一つ、肩線の位置です。
(※写真がわかりづらく申し訳ございません!)
一枚目の写真を改めて見ていただくとわかるのですが、肩線を後ろに倒すことで正面から見たときにこの肩線が見えなくなります。
2枚裁ちと3枚裁ちにも通じるのですが、肩線は肩の真上にあるほうが縫製しやすいため、現在は肩線が真上にあるものが主流となっています。ただ正面から見たときに肩線が見えると、曲線的でなく見えてしまいます。
ですのでこのモデルは肩線を後ろに倒し、曲線的で美しい肩周りのシルエットを体現しています。
●カサルヌーヴォ(貫通ダーツ)
まず最初に目に入るフロントダーツですが、” カサルヌーヴォ “
いわゆる貫通ダーツを採用しています。伝統的なナポリ仕立てのディティールのひとつで、スーツ好きの皆様はご存じの方も多いかと思います。
本来、カサルヌーヴォを取り入れる意味合いは、フロントの奇麗な収まりと、背面に向かって流れるようなラインを生み出す為の、いわばパターン上の意匠のひとつでしたが、現在はそのデザイン性から採用しているモデルが多いのではないでしょうか。
もちろんこの” ナポリターノ “も、デザイン性を意識して取り入れています。
●マニカカミーチャ(シャツ袖)
カサルヌーヴォ同様、ナポリ特有の仕立て方であるマニカカミーチャ(シャツ袖)を基本仕様で採用しています。
こちらは有名なディティールの1つで、あえてその説明をする必要はないかと思いますが、ナポリモデルの特徴である曲線的で美しいシルエットには必要不可欠なディディール。
その点でこのモデルの拘りをお伝えさせていただくと、イセ込む箇所を運動量の多い中央から後ろにかけてとっています。
(※こちらも写真がわかりづらく申し訳ございません!!)
そうすることでやり過ぎ感を排除し、正面からの見え方はすっきり見せつつ、中央から後ろ部分のイセにより、肩周りの可動域を広げることで、シルエットと着心地を両立しています。
さて、まだまだお伝えしたいことが盛り沢山なのですが、今回はこの辺で失礼いたします!
近日中に” Napollitano “②を書かせていただきます。
②はちょっとマニアックな点が増えると思いますが、ご覧いただければ幸いです。