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Recommend Collectionでは元生地屋の私が特に推奨する生地について、スペックや推奨ポイント、
着用感や着こなし等、私なりの言葉でお伝えさせていただきます。
1950年頃まで商標として”フランネル”を保持していたことでも知られる、英国フランネルの代名詞『フォックスブラザーズ』は1772年、イングランド南西部のサマセットで創設されました。その定番コレクションである”クラシックフランネル”と、それとは一味違うテクスチャー、カラーを楽しめる”ウーステッドフランネル”。普遍のエレガンスを感じさせてくれるマスターピースのフランネルを、当店ではバリエーションをもってご用意しております。
フォックス ブラザーズは、かつて数千人を雇用するなど、英国最大のミルのひとつだった。が、時代の趨勢の中でいつしか経営危機にさらされるようになった。2009年、それを知ったダグラス・コルドー氏が経営権を取得してから徐々にコレクションの幅を広げ、今や押しも押されもせぬ人気のミルとして復活を遂げています。
そもそもフランネルとは・・・?。フラノと呼ぶことも多い、平織りや綾織りをゆるく織って縮絨(しゅくじゅう)をかけて、片面もしくは両面を起毛させ柔らかく仕上げた毛織物をフランネルと呼びます。弾力性があり保温性が高いのが特徴で、本来は太く短い羊毛を使った紡毛(ぼうもう)織物ですが、今では梳毛(そもう)も一般的に認知されています。フランネルは18世紀頃に英国のウェールズで創織され、「ウェルッシュ・フランネル」と呼ばれ、婦人の肌着として用いられたのが始まりとされます。
【FOX BROTHERS “CLASSIC FLANNEL”】
Weight:370 – 430 gms
Composition:100% wool
フォックスブラザーズが誇る唯一無二の定番コレクションです。フランネルの歴史=フォックスブラザーズの歴史となるフランネルは、男なら一着は欲しいグレーフランネルや、チャーチルが身を包んだチョークストライプ等、普遍のエレガンスを感じさせてくれるマスターピースが並びます。
フォックスブラザーズのフランネルは、柔らかさの中にしっかりとしたコシを備えているのが魅力で、独特な風合いを感じられます。ゆるく織るということは、原毛を糸にする際の撚りも少なくなるので、必然的に耐久性が弱くなってしまうのですが、その最大のデメリットを最小限に抑えたしっかりとしたハリこそ、フォックス秘伝のレシピによって生み出される、着るほどに馴染んでいく唯一無二のフランネルなのです。
もうひとつ、フォックスブラザーズのフランネルを語るうえで不可欠なのがその色味で、複数の色のウールで織り上げられるフォックスのフランネルは、他にはない独特の色味もまた、唯一無二となっております。
上記写真は、左がフォックスブラザーズのフランネル、右がイタリアの某有名ミルのフランネルとなります。一目瞭然かと思いますが、左側フォックスのフランネルは温かみがあります。逆に右側のフランネルはどこか寒々しさが感じられると思います。何故ならば、フォックスのグレーフランネルには”黄色”や”緑”といった色糸も組み合わせて織られているからです。無彩色であるグレーの色味を出すのに有彩色を使用しているのですから、その深みは他の生地と比べられるはずもなく、その独特な色味もまた唯一無二となるのです。
歴史に裏付けられたフォックスブラザーズのフランネル、その定番コレクションであるならば、普遍のエレガンスを感じさせてくれるマスターピース、”グレーフランネル”・”チョークストライプ”・”プリンンスオブウェールズ”などをお勧めいたします。
【FOX BROTHERS “WORSTED FLANNEL”】
Weight:270 – 430 gms
Composition:100% wool
定番のクラシックフランネルとはひと味違うテクスチャー、カラーをお愉しみいただける、梳毛を使用し織りあげられた”ウーステッドフランネル”。3つのウェイトで展開され、ライトウェイトのものは特に長い期間ご着用が可能です。オーダースーツは勿論、セパレートにしての「スマートカジュアル」もダグラス社長のおススメだそうです。
このコレクションは高温多湿の現代において、さらに室内での業務が多い方々に特にお勧めいたします。クラシックフランネルの400gms前後のフランネルだとやや暑すぎるといったお客様、こちらのウーステッドフランネル、特に270gms前後の目付の生地を是非ご活用ください。さらに、このコレクションのモダンなカラー展開は定番とは一味違ったカラーが見つかるはずです。
今回のRecommend Collectionは、『FOX BROTHERS』 “FLANNEL” について書かせていただきました。
お目当ての生地を眺め、触れながら、どんなデザインで仕立てるか妄想を膨らませたり、実際に着用するイメージを思い浮かべたりする過程こそが、オーダーの楽しさであり醍醐味ではないかと思います。
そのお手伝いが出来ればと考えておりますので、生地やモデルに関するご質問やご相談がございましたら、当ホームページのCONTACTからお問い合わせ、もしくは直接お電話にてお気軽にご連絡くださいませ。
最後に、クラシックフランネルを使用し仕立てたスタイリング画像もご参考いただければと思います。